ストーリーセラー2 感想5 米澤穂信 「リカーシブル――リブート」


昨日の有川浩に続いてライトノベル出身作家の作品。
で、あるが、評価は真逆である。
未発表の長編か何かを抜粋、リライトしたものらしく、
出版に値しないと判断されているのか、
作者が書ききれない作品なのか、
そういうものを下敷きにしているだけあって、
どちらにせよ1本の作品としての完成度は低い。


母親の故郷に引っ越して来たばかりの少女と、その弟の関係、
そして新しい中学校での交友関係から、そこから発展する事件までを描きつつ、
伏線を張ってまわっているが、この作品内では回収されることなく終わる。


例えば桜庭一樹のような作家もそうであるが、
思春期の少年少女の描き方に特徴的、
というかライトノベル的な独特なところがある。
私たち、10代だからこんなもんだ、みたいな。
そういう書き方が好きな人は読んでみて、
いずれ発表される(つもりはあるのだろう)長編版に期待してみてもいいかもしれないが、
すでに『ボトルネック』のような代表作を発表している以上、
そういうことをするのはファンの仕事であるし、
長編を今から読んでみようと思う人はそっちに手を出したほうがいいだろう。
というわけで、僕としてはこの作品は全く推薦しない。